研究の目的
本研究は、西日本における海洋生物教育・研究の中核として機能してきた九州大学臨海実験所の伝統を踏まえ、現代の環境生物学における世界的課題になっている生物多様性研究に海洋生物学の方面から寄与すべく、東アジア中緯度から低緯度にかけての海洋および海洋に隣接する沿岸生態系の生物多様性に関するデータの収集と整理・解析を行うことを大目的としています。
日本国内において海洋生物生態に関するこれまでの研究蓄積の最も多い九州西岸域を拠点として、沿岸浅海域の生物多様性と群集構造に関するデータを集めることは、大いに意義があります。本研究を発展させることにより、近年社会的に大きな問題となっている人為的な原因による環境悪化および(半)自然現象としての環境変動・異変が沿岸生態系に及ぼす影響を査定する際に、重要な基礎情報の構築が可能になると考えられます。
日本から熱帯アジアにかけての中緯度から低緯度にかけての地域は、世界的にも生物多様性の高いことで知られており、九州西岸の天草下島に在る臨海実験所は、緯度勾配に伴う水域生態系の多様性比較を推進するにあたって格好の地理的位置に在ります。
暖温帯(九州西岸域)
・潮間帯群集(岩礁、転石浜、干潟)
・潮下帯群集(サンゴ類など)
亜熱帯(西表島)
・潮間帯群集(マングローブ林、ほか)
・潮下帯群集(サンゴ類など)
熱帯(インドネシア: スラウェジ・イリヤンジャヤ)
・潮間帯群集(マングローブ林、ほか)
・潮下帯群集(サンゴ類など)